「遅くなっちゃったなぁ〜。やっぱり、裕子先生の車に乗せてもらえばよかったかナ。」 明日は、月に1度の園の行事。今月は、「お店やさんごっこ」です。色紙でお金を作って、園中が店員さんになったり、お客さんになったりします。その準備で、すっかり遅くなってしまった琴美さん。もう、夜の11時を回っています。 琴美さんの家は、たいよう保育園からバスで3つ目。終バスのない琴美さんを心配して、主任保育士の裕子先生が「送りましょうか。」と言ってくれたのですが…。
「ん?!」 琴美さんの後ろから足音が聞こえてきます。まるで、足音の主は、琴美さんの足音に合わせようとしているかのようです。 まッさかぁ。つけられているなんて…ないよネ。 念のため、少しだけ足を速めてみます。後ろから聞こえてくる足音も速くなります。次第に急ぎ足となる琴美さん。もう、ほとんど走っているという状態です。 「ちょっと、アンタ待ってヨ!」男の声が追いかけます。 そんなこと言われて、待つバカがどこにいるっていうのよッ。ああ〜。どうしよ!どうしよッ!!この辺って、住宅街なのよね。もう、その辺の家に逃げ込んじゃおうかしら…。 トントン。足音の男が琴美さんに追いつき、肩をたたきます。 「ハア。ハア。待ってと頼んでいるのに、何で走るんですか。」 「ギャ〜〜〜〜〜ッ!!」
「琴美先生、定期券を拾ってくれた親切な殿方をチカンと間違えたのですって。」 主任保育士の裕子先生が、からかうように言います。 「だってェ〜。私の家の近所って、住宅街でしょ。真っ暗だし…。とにかく、怖くて、怖くて…。」 「確かに、女性が真っ暗な夜道を帰宅するのは危険ですね。」園長先生のおっしゃるとおりです。たまたま今回は、琴美さんの早とちりで済みましたが、本物のチカンや通り魔だったかもしれません…。 「裕子先生、これからは終バスに間に合うよう、退園時刻に配慮してくださいね。それと、女性職員全員に防犯ブザーを貸与することにします。それより、琴美先生の叫び声のほうが効果的かしら。地区会長さんが、生まれて初めて聞くものスゴイ叫び声だったとおっしゃっていましたよ。」 「園長先生まで…。」
「楽しかったなぁ。」 お店やさんごっこに園児たちは大喜びでした。少しオマセな3才児クラスのゆみちゃん。どこで覚えたのか、「ねえ、おまけしてくだしゃる?」を連発していました。 「さてと、このダンボールで片付け終わりッと。」つい、足でダンボールを動かしてしまった琴美さん。 「ねえ、琴美先生の足は手に変身するの?ボクの足は変身しないよ。」4、5才児クラスのさとしくんに見られてしまいました。 「ごめんなさいッ!今、先生いけなかったわね。モノを動かす時は、ちゃんと手で動かさないと。先生、もう1回やり直すね。」またまた、失敗の琴美さんでした。
女性労働者が真っ暗な夜道を帰宅するのは危険ですね 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則第15条に、「深夜業に従事する女性労働者に対する措置」が規定されています。 この規定は、満18歳以上の女性労働者に対する深夜業の規制が解消されたことによって、新たに深夜の時間帯に勤務することとなる満18歳以上の女性労働者が、その勤務を円滑に行うことができるようにとの目的で設けられました。 使用者は、満18歳以上の女性労働者を深夜業に従事させる場合には、通勤や業務の遂行の際における満18歳以上の女性労働者の安全を確保するように努める必要があります。「努める必要」つまり、努力しなさいということですね。 終バスに間に合うよう、退園時刻に配慮してくださいね 女性職員全員に防犯ブザーを貸与することにします 「通勤や業務の遂行の際における女性労働者の安全の確保」として、使用者は、次の点について適切な措置を講ずるべきと指針で示されています。 (1)送迎バスの運行、公共交通機関の運行時間に配慮した勤務時間の設定 (2)従業員駐車場の防犯灯の整備 (3)防犯ベルの貸与 (4)防犯上の観点から、深夜業に従事する女性労働者が1人で作業することを避けるよう努めること
その他、「子の養育または家族の介護等の事情に関する配慮」「仮眠室、休養室等の整備」「健康診断等」について、使用者は、適切な措置を講ずるべきと指針で示されています。
女性の深夜業については、一概に「いい」「悪い」と判断できないところがあります。 「満18歳以上の女性労働者に対する深夜業の規制」が解消されたからといって、女性に深夜業をさせなければいけないわけではありません。しかし、「女性だから」という理由だけで、女性を深夜業の必要な職務から排除してしまうと、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第6条違反となる可能性もあります。かといって、指針に示されているような措置をすぐに講ずることができない職場もあるでしょう。 職場ごとに最善策が異なる典型的なケースかもしれません。
最後に、どうでもいいことですが、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」って、長過ぎると思いませんか。もっと短くてわかりやすい名前にしてほしいものです。
作成日:平成16年5月12日