通勤災害って、健康保険は使えないはずよ。
健康保険は、労働者の業務外の病気やケガなどに関して、保険給付を行うことを目的とする医療保険です(健康保険法第1条)。したがって、業務上や通勤途上に関する給付を行う他の保険(たとえば、労災保険)から給付を受けることができる場合は、健康保険の給付は行われません(健康保険法第55条第1項)。
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琴美先生は、通勤途中にケガをしたのですか。
園の行き帰りは、なんでも通勤災害になると誤解していました。
通勤災害の要件の1つに、「通勤途上に発生した災害であること」という要件がありました。そもそも、「通勤」とはどういう行為をいうのでしょうか。
通勤は、労働者災害補償保険法第7条第2項で、「労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。」と定義づけられています。この定義を分解しますと、次の4つの要件となります。
(1)
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往復が、業務に就くため、または業務を終えたことにより行われること |
(2)
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住居と就業の場所との間であること |
(3)
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合理的な経路および方法により往復すること |
(4)
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業務の性質を有していないこと |
| 決して、「園の行き帰りであれば、なんでも」というわけでは、ありません。 |
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勤務を終えて、いつもどおり真っ直ぐには帰っていませんね。
合コンに参加して、その帰りにケガをしました。
いつもの通勤経路からはずれてプライベートを楽しんだ帰りにケガをした
通勤と認定されるためには、「住居と就業の場所との間を合理的な経路および方法により往復」することが必要でしたね。この「合理的な経路」とは、一般に労働者が用いると認められる経路をいいます。たとえば、琴美さんが、たいよう保育園に届け出ている公共交通機関を利用する経路などが、これに当たります。
琴美さんのように、合コンに参加するために、合理的な経路(つまり、いつもの通勤経路)からはずれる行為を法律上は「逸脱」といいます。原則として、合理的な経路を逸脱したり、たとえ合理的な経路上であっても、往復を中断した場合は、逸脱や中断の間とその後の往復は、通勤とはなりません(労働者災害補償保険法第7条第3項)。 |
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琴美先生が合コンから帰るという行動は、勤務のためではなくて、合コンに参加したためにする行動
合理的な経路を逸脱したことにより、通勤の要件の1つである「往復が業務を終えたことにより行われること」というよりは、逸脱の目的のために行われたと考えられるからです。
たとえば、琴美さんが、たいよう保育園からの帰り道でコンビニに寄り、日用品を買った場合なども同様に、通勤とは認められなくなってしまうのでしょうか。それでは、あまりにも杓子定規な解釈という気がしますね。これについては、通勤の実態を考慮して、「逸脱または中断が、日常生活上必要な行為であって、やむを得ない事由により行うための最小限度のもの」である場合は、その逸脱または中断の間を除き、合理的な経路に復した後は、通勤と認められることとされています(労働者災害補償保険法第7条第3項)。
「日常生活上必要な行為」の具体例としては、次のようなものがあります。
(1)
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日用品購入のために、通勤経路上にあるスーパーに立ち寄る場合 |
(2)
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通勤経路上にあるクリーニング店に立ち寄る場合 |
(3)
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一人暮らしの労働者が、いつもどおり定食屋で夕飯を食べる場合 |
(4)
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通勤経路上にある美容院に立ち寄り、髪をカットする場合 |
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通勤災害の定義を中心にご説明させていただきました。実務では、実際に発生した災害について、「労災になりますか。」とのご質問を受けることもあります。被災された方のお気持ちを考えますと、「Yes」か「No」かのお答えを差し上げ、少しでも安心していただければと思うのですが、なかなか難しいのが現実です。
実際に、通勤災害(もちろん、業務災害も)の認定を行うのは、所轄の労働基準監督署長ですし、その認定基準も、改正を重ねています。たとえば、以前はなかなか業務災害と認定されなかった自殺や精神疾患で業務災害と認定される例も増えてきています。これも、より通勤(または業務)の実態を考慮した認定をと関係者の方々が考えられ、努力された結果かと思います。 |